恋人と距離を置くとは?置きたい心理や冷却期間中の過ごし方など

「恋人と距離を置く」とはどのような状況なのでしょうか。「距離を置く」と「別れる」との違いから、距離を置く心理、良い点・注意点まで、心理カウンセラーの服部希美さんに伺いました。また、恋人と距離を置く時の一般的な期間や連絡頻度、冷却期間の過ごし方や終えるタイミングも紹介します。

恋人と「距離を置く」とは?



恋人と「距離を置く」とは?

恋人と距離を置くとは、「恋人関係を解消せず、ある一定の期間、恋人と会ったり連絡を取ることをやめたりすること」をいいます。

人それぞれ「距離を置く」というイメージや状態は違うかもしれませんが、付き合い自体は続いているものの、デートや毎日のやりとりをやめることで、関係の改善を試みている状態です。

コミュニケーションをいったんストップすることで、冷静になったり、客観的な視点でふたりの関係を見直すことができます。

「距離を置く」と「別れる」の違い


「距離を置く」とは、恋人関係はそのままで一度冷却期間を取ることです。「別れる」とは、ふたりの恋人関係を解消し、別々の道を歩んでいくことをいいます。恋人関係が続いているかいないかが、距離を置くことと別れることの違いといえます。

20〜30代の男女412人に、「恋人と距離を置いた後、どうなりましたか?」と聞いたアンケートによると、「そのまま別れた」41.8%、「一度よりを戻したが、結局別れた」26.7%、「よりを戻した」30.3%という結果でした。(データ出典:マクロミル)

そのまま別れる選択をしたカップルも約4割はいますが、「一度よりを戻した」も含め、よりを戻したカップルが約6割いるアンケート結果から、「距離を置く期間」はふたりの関係を冷静に見極める期間といえるでしょう。


恋人と距離を置きたい時の心理



恋人と距離を置きたい時の心理

そもそもどんな時に恋人と「距離を置きたい」と思うのでしょうか。恋人と距離を置きたいと思う時の心理を紹介します。

自分の気持ちを整理したい


恋人のことを「本当に好きなのか」「これからも付き合っていきたいのか」を、落ち着いて一人で考えたい時です。

また、恋人と別れたいと思っているけれど、「自分が本当に後悔しないか見定めたい」「一度冷静になって状況を見つめ直したい」と、自分の気持ちを整理したい時に距離を置きたいと考える人は多いです。

仕事など他のことに集中したい


重要な仕事を任せられていたり、大きな転機を迎えたりしている時は、恋人に気を回せないこともあるでしょう。忙しさが落ち着くまでの一定の期間、会う回数や連絡を減らしたいと感じる人もいます。

恋人に改善してほしいことがある


恋人に改善してもらいたいことがある場合、距離を置いて様子を見たいと考える人もいます。

気になるところを相手が改善してくれるのであれば、これからも関係を続けていくことができますが、改善が見込めないなら別れも考えているということです。

別れ話が言いづらい


別れたいけれど、いきなり別れを切り出すことはできないという人もいます。

突然別れ話をしたら恋人が感情的になるのではないかという不安から、一度距離を置くことで、徐々に別れ話を進めていこうと考えている場合もあります。

恋人が求める愛情表現が重い


連絡の頻度が多すぎたり、交友関係に口を出されすぎたり、愛情を試され続けたりと、恋人の愛情表現を重く感じる場合もあります。

相手の思いが重荷になっている時は、一度距離を置くことで、適切な距離感に仕切り直したいという気持ちであることが多いです。


恋人と距離を置く3つのメリット・良い点



恋人と距離を置く3つのメリット・良い点

恋人と距離を置くことで、どんなメリットや良い点が望めるのでしょうか。

客観的にふたりの関係を考えられる


相手のことを好きになって付き合い始めたものの、関係が長くなってくると、恋人に多くを求めすぎたり、不満が出てきたりする場合もあります。

一度、客観的な視点で恋人を見ることで、「自分にとって相手がどんな存在であるのか」「どんな関係を築いていきたいのか」を、お互いに見つめ直すことができます。

自分の時間を持てる


真面目な人ほど、自分の時間を恋人に費やしてしまう傾向があります。

それが知らないうちにストレスになっている場合には、恋人と距離を置き、自分の時間が持てることでリフレッシュすることができます。新たな気持ちでふたりの関係を築いていくことができるでしょう。

ふたりの間に絆が生まれる


お互いが相手のことや自分自身のことを見つめ直し、関係を改善していこうと取り組む中で、ふたりの間に絆が生まれることもあります。「やっぱりこの人しかいない」と思えるような関係を構築できるかもしれません。


恋人と距離を置く3つのデメリット・注意点



恋人と距離を置く3つのデメリット・注意点

恋人と距離を置くことのデメリットや注意点も見てみましょう。

わだかまりが残る


距離を置きたいと言われた方は、「傷ついた」「寂しい」などと感じるでしょう。反対に、距離を置きたいと言った方は、「相手を傷つけてしまったかもしれない」という申し訳ない気持ちにさいなまれる可能性があります。

距離を置いたことがわだかまりとして残り、関係を修復しづらくなることもあり得ます。そうならないためには、距離を置くことにお互いが納得するよう、自分の気持ちを素直に伝えたり、話し合ったりする必要があります。

不安が募ってしまう


距離を置いている間は、相手が何を考えているのか、何をしているのかは分かりません。

気持ちを落ち着かせたいと距離を置いたのに、「距離を置いている間に好きな人ができてしまうのではないか」「このまま別れようとしているのではないか」など、不安が募り、苦しくなってしまうこともあるかもしれません。

不安な気持ちでつらくなってしまわないように、距離を置く期間を前もって決めたり、連絡する頻度やタイミングなどを決めておいたりするとよいでしょう。

また、不安な気持ちから早く関係を修復しなければと焦りすぎて、距離を置いた早々に連絡を頻繁にしたり、「私たちはもう別れるしかないの?」などと言って相手にプレッシャーをかけたりしないようにしましょう。自分は焦りに拍車がかかり、相手は負担に感じてしまうかもしれません。

自分はもちろん、相手にも心を整理する時間が必要だということを頭に入れておきましょう。

別れてしまう可能性がある


恋人と距離を置くことで、そのまま愛が薄れ、気持ちが離れてしまうことも考えられます。中には、距離を置いたまま連絡が取れなくなって、そのままフェードアウトされてしまうこともあるかもしれません。

距離を置く前に、別れてしまうケースがあることにも触れて、「別れるならきちんと話し合う」「そのまま別れることはしない」などと決めておくと、少なくともフェードアウトされる可能性は低くなるはずです。


恋人と距離を置く期間・連絡頻度はどれくらい?



恋人と距離を置く期間・連絡頻度はどれくらい?

恋人と距離を置く期間は、あまりに短すぎても長すぎても修復が難しくなります。距離を置くに至った経緯や事情によっても変わりますが、短くて2週間、長くて2カ月ほど冷却期間をつくり、様子を見てみるとよいかもしれません。

距離を置く期間が2週間以内では、落ち着いてふたりの関係を考えたり、自分の気持ちを見つめ直したりするには短すぎます。反対に2カ月以上も距離を置いてしまうと、冷却期間が長すぎて別れてしまう可能性があります。2週間〜2カ月が、自分の気持ちや相手との関係を冷静に考えられる期間といえます。

また、前述のアンケートによると、恋人と距離を置いている間の連絡頻度は、「一切連絡もせずに会うこともしなかった」27.9%、「会うことはしなかったが連絡は取っていた」26.1%、「連絡する回数・会う回数を減らした」46.1%という結果でした。(データ出典:マクロミル)

一切連絡を絶つカップルよりも、今まで通り連絡を取ったり、頻度を減らして連絡をしたり会っている人が多いことが分かりました。恋人と距離を置くことで不安が募らないように、連絡する頻度やタイミングなどを決めておくことをおすすめしましたが、実際に距離を置いている期間も連絡をしたり、会ったりしているカップルは少なくないようです。


恋人と距離を置いている冷却期間中の過ごし方



恋人と距離を置いている冷却期間中の過ごし方

恋人と距離を置いている期間は、ふたりにとってプラスとなる時間にするために、どのように過ごせばよいのでしょうか。ここでは、事前にふたりで決めておきたいことやどんなことに意識を向けて過ごせばいいかを解説します。

連絡頻度を事前に決めておく


距離を置くといっても人それぞれイメージは異なります。

距離を置いている期間の不安を軽減させるためにも、「LINEなどのやりとりはしてもいいのか」、また「どれぐらいの頻度で連絡をしていいのか」など、冷却期間中の連絡頻度をふたりの間で決めておきましょう。

自分の時間を大切にする


距離を置いた直後は、相手が何をしているかが気になってしまうこともあるでしょう。

逐一相手のSNSをチェックしたり、何をしているか伺いたくなったりするかもしれませんが、仕事を頑張ったり、友人との時間を楽しんだりと、まずは自分自身に目を向けることに集中しましょう。

好きなことを楽しんだり、いたわったりする時間をつくることで、心に余裕ができます。余裕ができると、相手のことも自分のことも冷静に見つめることができます。冷却期間はいったん冷静になる期間ですので、心に余裕を持つことが必要です。

自分のどこを改善したらいいか考えてみる


距離を置くに至ったということは、それまでの付き合い方の中で、相手や自分が何かしらの負担を感じていたということです。それを改善せずに関係を復活させても、同じことが繰り返されてしまい、今度は別れを考えることになるかもしれません。

自分を責める必要はありませんが、自分のどこを直せばふたりの関係がうまくいくのか改善点を見つめる期間にすると、自分の成長に繋がったり、以前の距離感に戻った時により良い関係が築けたりするでしょう。


冷却期間を終えるタイミングはどのように決める?



冷却期間を終えるタイミングはどのように決める?

距離を置くことを決めたとしても、終わりが見えない状態で待ち続けることはつらいものです。可能ならば、距離を置く時に「距離を置く期間は2週間」などと決めておくとよいでしょう。冷却期間が曖昧になっている場合は、距離を置き始めてから1カ月ほどで一度連絡を入れて様子を見てみることをおすすめします。

また、「どちらから連絡をするのか」も話し合っておけるとよいでしょう。お互いに気を使い合ってしまい、連絡をできずに時間が過ぎてしまう可能性があるので、どちらが連絡をするのかも決められるとスムーズです。


冷却期間を置くならふたりのためになる選択を



冷却期間を置くならふたりのためになる選択を

恋人と距離を置くことにしたカップルは、その期間を無駄にしないことが大切です。そのためには、冷却期間は自分の改善点を見つめ、成長に繋がる期間にできるといいですね。そしてその後どのような選択をするにしても、お互いにとって前進できる関係を選びましょう。


取材・文/坂田圭永


【監修】
服部希美さん
「カウンセリングサービス」所属心理カウンセラー。セミナー講師。“さびしさを笑顔に変えるカウンセリング”をテーマに高い共感力で親身に寄り添い、婚活や30代女性の恋愛をサポート。「対人関係の改善」「自分の望む人生へのシフトチェンジ」といった相談でも高い支持を得ている。
公式サイト:https://www.hattori-nozomi.jp


【データ出典】
・ご自身に関するアンケート
調査期間:2023/5/17〜2023/5/18
有効回答数:男性206人、女性206人
(インターネットによる20〜30代男性・女性へのアンケート調査 調査機関:マクロミル)